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フォトンベルトを抜けた先

自作小説をぼちぼちと。

与太話

「アダルトビデオでさ、下半身だけ見えないようにして上半身は接客とかするやつあるじゃん?」 夜も更けてきたとはいえ公衆の面前で、友人は無邪気にもそんな話を切り出す。カウンターの下に男優が隠れてるやつね、ふむ。 「で、女優さんが悶えながらも応対…

#05 世界樹

ドアミラー越しに後方を確認するが銀色のセダンはおろか、何かが追ってきている気配がない。まさかこの距離で撒けたわけでもないだろう。しかし、その後も誰かが追ってくることはなかった。霊弐がほっと胸をなでおろすと、運転席の女、蕗薹央(ふきのとうあ…

ホワイトデー

彼女が死んだ。 最近はよくデートもしていたし、こないだだってバレンタインのチョコを貰ったばかりだった。僕は手に持ったお返しのキャンディが入った袋に目を落とす。僕は彼女の最後の顔を見られなかった。初めて見た時から僕の心を掴んだままのその瞳を、…

#04 追手

助っ人を呼ぼうと思って。そう言いながら起き上がって、霊弐は端末を操作する。すると、彼女は霊弐の腕を掴んで言った。 「やめて!」 霊弐を信用して来た、と彼女は続けた。他の人間は信用できない、と。霊弐は別段隠れて探偵をしているわけではないが、自…

#03 不安

首が痛くなるほど高い山を見上げ霊弐は、自室の前の通路の柵にもたれ掛かる。霊弐の家は3階建てのアパートの一室だ。築年数は古く、今世紀の初めに建てられたらしい。ILHENの管理の下、人々の多くは都心部の居住区へ移住してしまったため、このアパートも3階…

#02 彼

ILHENの管理下に置かれたこの街で、実は管理の目を逃れる方法があるらしい。この街は周囲を山に囲まれているが、その山の向こうへ行った者は誰もいないという。山の向こうに何があるのか、これを知る者も誰もいない。この街ではILHENの管理が行き届いている…

#01 白い影

4月。ああ、別に厳密に太陽の位置がどうとかで決まっているわけではない。暦の上では、4月に当たるというだけである。人類を悩ませた21世紀のエネルギー問題は、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーへの全面的な切り替えによりほぼ解決し、安定しなか…

「P.S.E.」

「P.S.E.」 ピーセと読みます。 現在連載中です。SFと呼ばれる分類になっているかと思います。シリーズをカテゴリ分けしておりますので、ご覧ください。